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その人が何処から来たかなど、どうでもいいではないか。 どんな地位にあるか、どんな功績があったのか、どんな血筋を引いているのか、など全くどうでもいいではないか。 ただ、その人の行いを見よ。 今ここに於いて、何をするのかを見よ。 行いが正しく、羞恥があり、身と心を慎んでいるのであれば、その人は生まれがどうあれ、今から高貴な人ではないか。

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アンナプルナ一周を写真一枚で表現するならば、この写真だ!

山もグライダーも写っていない、このランディング後の写真…

しかしこの一枚が全てを表現する。

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最終日!サランコットからのラストフライト!

サランコットはフライト エリアであり、サランコットは職場であり、サランコットからはもう数えきれない程 飛んでいる…

なのに興奮し、感動し、感激しながら飛ぶ事ができたのも、アンナプルナ一周が素晴らしいものであったから。







アンナプルナ一周 ゴール‼


体力! 覚悟! 強い気持ち!

この世界は技術なんかじゃない。

上手さではなく強さ!そんな世界です。

もちろん技術がなければ怪我をし、判断を誤れば全てを失いかねない。

全ては「経験」があってこそだ。

アンナプルナ一周を一言で言えば、「経験に勝る力はない!」
この言葉に尽きる。

今日ポカラに戻りオフィスに行ったら、今から仕事だ! と言われ、2本飛んだ。

休養の一日だったのに…

でも、今日 仕事をして感じた事がある。一ヶ月前の自分と明らかに違う何か…

「力」だ!

アンナプルナ一周を経験し、その経験が力になっている事を強く感じた。

私は日本人でアドベンチャー パイロットの存在を知らない…

世界には左を向いて飛んでいるパイロットがいる。

日本人の中にも一人くらいそんなパイロットがいてもいい…

私がその一人になります!

これからこの分野で自分の世界を造っていく。

アンナプルナ一周の中で次の挑戦が見えてきました。

次の目的に向かって進んで行きます。

アンナプルナ一周は最高でした!

ありがとうございました。



29日目の今日 ポカラへゴール出来る予定でしたが…

今日は朝から真っ白、昨日 午後からの雨で朝は霧で下が全く見えない… もちろんアンナプルナも見えませんでした。

自分はもう山は見てきたので、景色はどうでもいいのですが、ゴールデン ウイークの時期で、日本人トレッカー2人がオーストラリアン キャンプに来ていました。
観光客にとっては山が見える、見えないでは印象も全く違ったものになってしまうので残念… そういう時は田舎のネパールの生活ぶりを見て触れて、「日本も昔はこうだったな…」って振り返ると共に、何か失ったもを気づかせてくれる、そんな環境を旅するのもまたいいものです。

この霧も気温が上がれば見えなくなるので、心配する事なく朝ごはんを食べ、飛ぶ予定の時間を待ちました。

テイクオフしたい所にあった柵を外してもらい、5〜6人の観客のなか10:45にテイクオフ、約20分のフライトを楽しみ、予定通りフェディーにランディングしました。







ランディング後、感謝の祈り。

アンナプルナ一周の今までで一番リラックスして飛べたのは、アマチュアの頃 何度もこの辺りは飛んでいるからであり、ランディング出来るスペースがある事も知っているから。

フライト エリアで飛ぶのと、初めての場所で飛ぶのは感覚が全く違う‼

緊張感… 不安… 心配…

だから無事 飛び終えた時の感動が全く違う‼

アンナプルナ一周はまさにこの連続で、だからこそこの経験は物凄い「力」になる!

今日はカメラに向かってランディング場所の選び方などを解説しなが飛んでいました。

その後はサランコットまで3時間 歩けば着く… と思っていましたが、4時間半かかりました。

ノウダンダで昼メシを食べた後、突然 身体が動かなくなり、サランコットまでの道はアンナプルナ一周の中で最も楽な道なんですが、身体が言う事を聞かない… この時 初めて身体が限界に近づいている事に気づきました。


思えば3日前のチャンドラコットの登りがやけにキツくて、アンナプルナ一周の中で最もキツい坂に感じたのですが… あの辺りから疲れはピークに達していたのかもしれない。

ゴールが近づき、興奮してあまり眠れない… と思っていたけど、疲れがたまり眠れなくなっていたのかもしれない。

約500km歩き、21000m山を登ってきた…



















最後 サランコットまでの道

アンナプルナ一周の最後になって、初めて動かなくなった足。

4時間半かかり、サランコットに到着するのが遅れ、この季節 夕方は当然の様に雨 雷になり、結局サランコットから飛ぶ事が出来ず、今日はサランコットに泊まって明日の朝、サランコットからポカラにフライトしてアンナプルナ一周を終える事になりました。

体力的にもゴールしてからホテルまで30分歩く自信がなかったので、サランコットで休んで、明日の朝 元気よくゴールしたいと思います!
今日はチャンドラコットを出たのが8:00、目的地のオーストラリアン キャンプに着いたのが10:45… 地図を見ては5時間を予定していただけに、思ったよりも短い一日だった。

宿に着いてからは洗濯。ズボンを洗うのはベシサハール以来… 24日ぶりだ。

山では寒くて乾かないから、なかなかズボンを洗えなかった。

そしてホット シャワーを浴びて、アンナプルナ一周の汚れを落とした。

アンナプルナでは寒さと乾燥で、唇がボロボロになっていたがそれも直り、酸素不足で軽く痺れていた手足の指先も直ってきている。

昨夜は蚊に悩まされ、日に日に停電の時間が長くなってきている…

蚊は1700mを下回ると現れ始める。

電気… 都会には来ていても、山村には電気が来ていない… が普通だが、ネパールは山村では24時間 電気があるのに、都会 ポカラに近づくに従って電気がない、停電が多くなる。

停電が多く、蚊も多いポカラ…

観光客も多く、仕事もあるポカラ…

全ては一長一短だ。

明日がアンナプルナ一周の最後の日になる。

オーストラリアン キャンプの高台から飛ぶのだが、今日 来て驚いた…

そこには柵が出来ていた。

話しを聞いたら、酔っ払いが落ちない為の安全柵だと言う…

何でも柵で囲うことで自由は失われ、全ては同一化してしまう。

パラグライダー然り、人生 然り…

しかしここはネパール! 柵は簡易な竹と木で出来ており、明日 飛ぶ時間には一部 柵を外してもらえる事になった。

何事も柔軟性が必要だ。

ネパール ありがとう!

最終日の明日、条件を見てフライト時間を決める。

予定では11時頃にオーストラリアン キャンプからフェディーにフライトし、その後はサランコットまで歩き、午後3時頃 サランコットからポカラへのフライトでアンナプルナ一周の挑戦を終える。

準備した3m程のチベタン フラッグと、常に首に巻いていた御守りの赤いショールを、半谷さんから頂いたバック、相棒の赤いDax Eurasia 80の後ろに付けなびかせながら、サランコットからファイルフライトします。

明日、29日間のアンナプルナ一周の挑戦が幕を閉じます。


快晴の美しい朝になった。
トレッカーが景色を楽しみにプーンヒルに登るなか、私はプーンヒルには行かなかった…

歩く途中で見えたダウラギリ…

昨日 プーンヒルに行き、そこが飛べる場所なのか? 調べたが、100%不可能な場所だった。

美しい朝、プーンヒルには素晴らしい景色が広がっている…
しかし飛べない以上、そこへ行っても仕方がない。

結果、そこで無駄な体力を使わなかった事が後々 プラスになった。

自分はトレッカーではなく、目的は違うところにある!


昨日の段階で今日は歩いてガンドゥルクまで下りる予定を立てていた。

宿を出たのが遅目の9時、ゴレパニから1時間程歩いた時、大きなカルカ(木が生えていない場所)が見えた。

右上の木が無い所がカルカ

「あそこからならテイクオフできる!」気持ちが動いた。

通り行くネパール人に道を聞いても、そこまでの道は無いと言う…

しかしあそこまで行ければ、飛べる可能性がある…

道らしき場所を見つけては、ジャングルに入って行き、引き返す… を何度となく繰り返した。


しかしカルカがある場所には必ずと言っていい程 道はある! 今までの経験上。

何度とジャングルに入っては出てを繰り返し、ついに道らしき道を見つけた!

もちろんリスクも考えた。

奥深く入って、もし道に迷ったなら、昨日の様に嵐になったのなら、どうしたらいいのか?

ジャングルに入って2時間、ついに尾根らしき場所に出た。
その尾根を進んでいく…

開けた場所に出た… そこが目指したカルカだった。

この行為は気質だと思う。

道はない… と言われたのなら、何もそこまでして森深く入って行くのは危険もあり、予定通り飛ぶのは諦めガンドゥルクまで歩いて下りれば丸く収まる。

しかしそこに飛べそうな場所が見えた以上、可能性がある以上、そこに向かわずして納得がいかない!

これはアドベンチャー パイロットに必要な気質だと思う。

もちろ引き返す判断が出来る、明らかに見極める事が出来る、その判断も必要だ。しかしこれは経験の積み重ねが無いと出来ない。

ジャングルに入り辿り着いたカルカからテイクオフ。

時間は11:30、後ろからは黒い雲が迫って来ている… この季節は朝から太陽が照りつけると、9時には雲で山は隠れ、雲は急速に発達し、昼前には太陽は隠れ、アンナプルナサイドから天気は崩れていく…

飛ぶ前に考えていた事はただひとつ、如何に安全にランディング出来るのか?

簡単に下ろせる場所など何処にもない…

飛ぶ前から一ヶ所 見える範囲でランディング出来そうな場所は決めていた。しかしそこは段々畑であり、何かが植えてある場所かもしれない…
そこは飛びながら決断し、ベストな場所に下ろす。






標高差は1500m、10kmは飛ぶ中でその場所を決断した。


谷風を計算し、最後は上昇しながら偏流で段々畑に沿いながら目標の場所に向かう。

「プロの意地にかけてもあの場所に安全に下ろす!」

それしか頭になかった。

狙った田んぼはただ一つ!

完璧だった! 狙った田んぼのしかも狙った場所!
パラグライダーを始めて4年半、そのなかでも最高のランディングが出来た。



渾身のガッツポーズ‼




テイクオフを見つけ、安全にランディングする!これがアンナプルナ一周の要であり、このフライトがアンナプルナ一周の総決算となった。

その後はナヤプールまで1時間かけて下り、3時間かけて今日の目標地 チャンドラコットまで600m登った。

下界は暑い… 34℃だ…

しかもチャンドラコットまでの道が死んでいる道で、がけ崩れに洪水で道が流されていて、廃墟の様な道…


この登りはアンナプルナ一周の中で最もキツかったかもしれない。イラつく気持ちを叫ぶ事で解消しながら登った。

一日で2300m下り、1150m登った…

チャンドラコットに着いたのは夕方5時前だった。


山を登り、臨機黄変に対応し、判断し、決断し、挑戦し、感激し、怪我なく終わる…

そんなアンナプルナ一周の全てが凝縮されたような一日だった。

この一ヶ月で自分が得たものがある。

それは経験だ。そしてそこから生まれる力!

この経験は自分の意識に強さと誇りを与える。

これはプロのタンデム パイロットとして生きていく上でも、大きな意味がある。

プロとは個性であり、そこには何かスペシャルなものが必要になってくる。
それは何であってもいいが、他には負けない分野。それがプロとしての誇りになり、この世界で生きていく糧になる。

飛ぶのが上手い… それだけでは生きてはいけない。
たとえ上手くても、魅力のあるパイロットでなければプロとしてはそこに埋れてしまう。

私にとってその答えがこのアンナプルナ一周であり、次への挑戦になる。

ポカラが近づくに連れ、何か知れない力が湧いてくる…

あと2日だ!


雨のゴレパニ…

今回のアンナプルナ一周は自分にとって何処も初めて訪れる場所であり、無論 飛ぶのも初めての場所になります。

プーン ヒル…

今日はガラからゴレパニまで5時間かけて登り、荷物をゴレパニのゲストハウスに置き、そのまま直ぐにプーン ヒルまで登りました。

プーン ヒルの写真を幾つも見ては「間違いなく飛べる場所!」と思っていました。

プーン ヒルは標高が3200mあり、昨シーズン テイクオフしたコーションの下 クマイダンダ3200mを思い浮かべ、写真もそれに似ていたので、森林限界を超えプーン ヒルはテイクオフ出来る場所だと考えていました。

しかし… プーン ヒルは100%飛べない場所でした…


はげた部分はほんの僅かで、その周りは完全な森…

テイクオフする事もトップランディングする事も、全く出来ない場所でした…

最後のハイライトと考えていたプーン ヒルからのフライトは消えました…

プーン ヒルからクスマまでXCに挑戦も消えました…


南下する事で、同じ標高であっても森林限界は変わってくるのかも知れません。

初めて訪れる場所なので、自分がイメージしていたのと違う事はあります。

今回の一周では、ベシサハールまで飛んで下りる予定だったが、林に囲まれていたナルマ、完全に雪で覆われていたティリチョ レイク、傾斜がビックリする程なかったトラングラ パス、そして森に覆われていた今日のプーンヒル…

地図やGoogle earthの映像を見ては、またはインターネットや写真を見ては「飛べる場所!」と考え、そこに登ってみては落胆する…

初めての場所であり、想像していた光景と違う事は仕方がない事です。

逆に想像以上の景色、場所に感動する事もありました。

アンナプルナⅡ.ⅳの迫力、ラムジュン ヒマールからティリチョ ピーク、後ろにはチュルー… その360度の絶景に感動したピサン ベースキャンプ。


ありえないロケーションでのキャンプ、その光景を独り占めし贅沢な時間に酔いしれたアイス レイク。


グランド キャニオンを思わせるるようなロケーションの中、まるでスローモーションでその光景を見ているかの様に感じたムクティナートからエクレバティへのフライト。


憧れのダウラギリ、それに対面しながら是非飛んでみたい! と7時間歩いて探した場所、ティティ レイク 裏山からの絶景と感動のフライト。


これらは今回の宝物となりました!

プーンヒルから飛べない以上、ルートを変更し、予定を変更し、計画を変更し、ポカラを目指します。

明日、明後日は歩いて下ります。

南下し、標高は下がっていくので、全ては森と谷だけになり、飛べる場所は無いと思います。

目的地はオーストラリアン キャンプ。

ここは2ヶ月前に訪れましたが、テイクオフ出来る場所です。

「トレッキング&フライト」で、お客さんを乗せてタンデムでのフライト、その可能性もある場所です。

明日はガンドゥルク1940mまで下り、明後日はオーストラリアン キャンプ2060mまで行き、オーストラリアン キャンプからのフライト後はサランコットまで歩いて、4月29日の夕方 サランコットからのフライトをもってアンナプルナ一周の挑戦を終えたいと思います。

あと3日です!
本当にやりたい事があるのならば、それが出来るベストな環境に身を置く!それが重要です。

環境が全てを左右する… そう言っても過言ではない。

自分はポカラで生きていく為にパラグライダーを選びました。

パラグライダーは趣味ではなく、遊びでもなく、生活していく為の糧です。

それを始めるに辺り必要だったのは、ベストな環境でした。

それが「世界の扇澤」日本一のパイロット、扇澤さんのいる獅子吼でした。

この道で生きる以上、生活の糧である以上、その教え手=環境、単なる技術だけではなく、精神面に置いてもその環境が如何に大事なのか!

「それで生きていく」

環境はよくなくても、努力すれば、上手い奴は上手くなる…

それは「それで生きていく」ではなく、「上手くなる」です。

「それで生きていく」と「上手くなる」は違う世界です。

上手くても、それで生きてはいけない!

アドベンチャー パイロットになる為の環境がここにはあります。


日本にいたならアドベンチャー パイロットになりたい… なんて思いもしない。

それはその環境がないから。

ポカラで生きていく為にパラグライダーを始め、この環境があるからアドベンチャー パイロットを目指し始めた…

環境が人生を変え、環境が人を変える。

だからやりたい事があるのなら、そのベストな環境を追い求めるべきです。

もしそれが可能ならば、その環境にあなたがいるのならば…
今日はルプセチャハラからタトパニまで500m程下り、タトパニから進路を南東に変え、終盤のハイライトであるプーンヒルを目指し500m程登ったガラまでやって来ました。

どんどん下って南下して行きます…

ちょうど一週間前は5416mのトラングラ パスを登っていました。
今日のタトパニが1200m。
標高差が4200m… トラングラ パスで氷点下10℃でしたが、今日のタトパニで30℃。40℃の気温差…





相棒

タトパニからガラまでは登りでしたが、全く息が切れる事なく、息が乱れる事もなく、楽々 登る事が出来ました。

今日の登りはこんな道でした…

標高が下がり感じる事は、空気が濃い!そして暑い!

この二点で標高差を強く感じる事が出来ます。

暑いので日陰で一休み…

10日以上 4000m前後の世界にいたので、身体機能は今 凄いです!

そしてもう一つ、手足の指先が常に軽く痺れています。
これは先まで酸素が十分に行き届いていない為。

真冬から真夏へ、そして3200mのプーンヒルは丁度いい感じかな…

明日はプーンヒルの手前 ゴレパニまで6時間かけて1000m登ります。

体力的には何の問題もないので、最後のハイライト プーンヒルからのフライトに向けて作戦を立て、気持ちをもっていきます!

身体はどこも細く無駄なものが削ぎ落とされましたが、ここだけ太くなりました。

アンナプルナサイドは谷風が強く、朝 風が動く前にフライトしましたが、プーンヒルからのフライトはXCを狙って風が動いてから、日中の風が強い時間に飛びます。

目指すは直線距離で20km先のクスマ!

Ibexでどれだけ飛べるのか?

そこに挑戦します。

今回のアンナプルナ一周で一番出会いたかった山、それが最後に訪れるダウラギリ8172mだった…

朝日と朝もやの中、ティティ レイク裏山を登る…

出会える可能性は朝、しかも天気がよくなければ8000m級の山は完全に雲に隠れてしまう。

日本にいる時から地図を眺めてはダウラギリが見える場所を探していた。
そしてそこから飛べる事を強く望んでいた。

麓からでは雲に蓋をされ見る事が出来ない…

「ティティ レイク」この周りの何処か近くの山からテイクオフ出来れば、雲の上を覗く事が出来れば、ダウラギリを正面に見て飛ぶ事が出来る… その為の場所探しが一昨日、昨日だった。

計7時間歩いてその場所を見つけた!

朝日で輝くダウラギリ…

そして今朝、神様が微笑み、最高のロケーションの中でダウラギリに出会う事ができた。

8172m ダウラギリ‼


テイクオフは下の方ではなく、上のカルカから。

昨夜 地図を眺めては計算をし、Ibexでも間違いなく森を超え、ランディング地点のカリガンダキまで飛んで行ける! そう確信していた。

昨日は微妙だと感じたその距離も、今朝カルカに上がって眺めると、必ず超えられる! そう感じた。

ダウラギリ…


昨年、世界にある8000m級 14座を日本人で初めて制覇した 竹内 洋岳 が最後に 登りつめた山、それがダウラギリだった。

ダウラギリ…


ポカラから見えるその微かな姿でさえ威厳を感じ、サランコットを飛んでいる時もいつも視線はダウラギリを追っていた。










神様がいて、ダウラギリに会えて、その空を飛ぶ事が出来た今日、それはアンナプルナ一周の成功を意味していた。

残るはプーン ヒルからのフライトだ。

プーン ヒルはアンナプルナを離れ、アンナプルナ全体を離れた所から眺める事ができるビュー ポイントだ。

いったん1000mまでに下がった標高も、プーン ヒルに登る事で3200mまで上がる。

このアンナプルナ一周をプーン ヒルで振り返り、プーン ヒルからのフライトを成功させ、無事ポカラまで帰る事が出来れば、このアンナプルナ一周の旅は終わりを告げる。

あと5日!

必ずアンナプルナ一周を成功させる!
昨日までの雨や雲り空も今朝には回復し、昨日調べた場所に朝6時半から歩き上がり、8時から飛んで下りました。



後ろにはトゥクチェ ピーク6900mがありますが、朝日が照りつけて直ぐに雲が湧き始め、8時の時点では山は隠れていました…

フライト自体は標高差400mあまりを飛んで下りただけですが、初めて見るパラシュート(田舎では皆こういいます)に、デェレー ラムロ!(とても素晴らしい)と言ってもらいました。

これで生きていく!と決めてから、日本に帰り、初めて獅子吼でパラグライダーを見た時の感激を今 思いだしました…

それ以前にポカラで見ているはずなのに、その時は全く興味が無かったので、その記憶もほとんどありません。

その後 朝ご飯を食べてから、ダウラギリを見ながら飛べる場所はないか? とティティ レイクの裏山へ。

ティティ レイクとニルギリ

3080mのその場所は、カルカ、台地になっていて、沢山の牛が放牧されていました。

裏山を登っていきます…


そこには広大なカルカが広がっていました。

放牧された牛達…

何故かダウラギリが見える南側は木がなく、反対の北側は森になっている台地で、その南側の一番高い所からテイクオフできます。


しかし問題はランディング出来るカリガンダキまでIbexで届くのか?
目視では微妙な距離で、届かなければ森の中で引っかかってしまう…

下にはティティ村があり、田んぼや畑がありますが、もう既に田畑を耕し、何かを植えている様子…

そこでカリガンダキに近い方で場所を探し、3015mの所で確実にテイクオフでき、カリガンダキに下ろせる場所を見つけました。


この飛べる場所探しで4時間 歩きました。

しかしこのテイクオフを探す行為が、最も貴重な経験になります!

風向き、地形、ランディングとの位置関係、リスク…

色々な事を考え、テイクオフ出来る場所を求め奔走しますが、これが高度が下がれば下がる程、なかなか見つかりません…

部屋に戻り、地図で距離を確認すると、Ibexでも上のカルカから飛んでカリガンダキに届きそうですが、朝は吹き下ろしでシンク帯になる場所を飛ぶので、吹き下ろしが無くなり、谷風が入って来る時間に飛べば…

確実に飛んで下りられる場所からとぶのか? 距離もあり、景色もいいが、その微妙な場所から飛ぶのか?

初めて飛ぶ場所だけに想像しずらいですが、これが魅力でもあり、感動に繋がる要素にもなります。

明日 朝のコンディションも見て、しっかり考えて、決断します!

朝 飛んで下りたカリガンダキ。
朝5:00にトイレに行くと雨の音が…

この時点でアルバリからのフライトを諦めました。

後半の目玉の一つだっただけにとても残念ですが、日程的にもこれ以上 マルファに滞在する事は出来ません…

時折 日差しが出ては又 雨が降る、不安定な天気…

後ろの山はこんな感じ…

後ろ髪をひかれる思いでしたが、こんな天気で山を登る事は出来ない!

マルファのゲストハウスのオーナーに聞きましたが、5日前にダウラギリに登る途中でネパール人ポーター5人が寒さの為 亡くなった… しかも4000m台の高度で… 原因は粗末な服だそうです。

5416mのトラングラ パスでもそうでしたが、彼等の靴は運動靴、それに毛糸の手袋、服もトレッカーがゴアテックスの上下で完全防備しているのに対し、普通のカッパみたいな服装…

ティリチョ レイクでもし私が簡易な服装に寝袋、テントも粗末なものだったのなら…

命の保証はなかったかもしれない。

山の世界、命はお金で買う事ができます!

アルバリはダウラギリに登る最初のキャンプ地点。

ゲストハウスのオーナーが「今回は残念だが、次回はダウラギリから飛びに来いよ!」

と言ってくれましたが…

ダウラギリ… 簡単に口に出して言えない世界です。


今回の旅で自分の気質について感じる事がある。

今日はそれを強く感じた!

天気も悪く、歩くしかない今日。
そこで自分が選んだ道が何故か?山道だ。
新しい道があり、そこを歩けば4時間で今日の目的地に着くのだが、古い山道を歩き、登り下りを繰り返し、結局 目的地手前までしか行けなかった…

歩くだけなら、山道を行こう!

そして宿に着いてから3時間、明日のテイクオフを探して周った…

後ろの山にあるカルカ(空き地)がターゲット。

高度が低くなればなるほど、木々に覆われ、その場所は見つからなくなる。

明日は朝6時から山を登り、何とか見つけた場所からトゥクチェ ピークを見ながらのフライトを予定しています。

何とか見つけた場所なので、登りは1.5時間、フライトは5分が精一杯かな…

何もそこまでしなくてもいいのに…

とも思う事も多々ありますが、納得いかないと駄目な気質、かなり普通に対する抵抗心があり、大人しい?と言われてきた意味不明への反発心、獲物を狙う闘争心、この道への挑戦心…

人が真似できない世界への欲求が自分の中に強くある、そんな自分の気質に気付いた日々であり、そのスタートラインに今立っている自分がいます。
30日間の長丁場、21日目にして昨夜から降り続いた雨が朝になっても止まず、昼過ぎまで雨が続き、今日は一日 休養となりました…

マルファの村

歩くだけなら昼過ぎから次の村まで歩を進める事も出来ましたが、ここマルファから山を登り、アルバリまで行ってニルギリをバックに飛ぶ予定を立てているので、今日は一日 ここマルファにいました。

がれ場の中に村があります。

ただこのはっきりしない天気…

明日も同じ様であれば、これ以上 スケジュール的にもマルファにいる事は出来ないので、アルバリに登り飛ぶ事は諦めて、次に進んで行きます。

目的はあくまでもアンナプルナ一周を歩き、登り、飛ぶ事なので、一カ所に固執できないし、30日間が会社からもらっているお休みなので、その中で周れる様にスケジュールを立てています。

雨ばかりはどうしようも出来ないですね…

雨の合間にランディング出来る場所を探しに行きました。

明日 天気もよく、山も見え、飛べそうならばアルバリまで登ります!
強風のカリガンダキ… 朝8時には飛ぼうとホテルを朝6時に出て、昨日下調べしたムクティナートの裏山へ。




ほぼ予定通り、8時少し前にテイクオフしました。






ムクティナートまでの景色と全く違い、そこはグランドキャニオンを思わせる様な広大な台地が広がり、飛んでいても進んでいる感じがしない、全てがスローモーションの様に流れていきました。


標高差1100m、カリガンダキに届く高さがありましたが、周りの電柱の並びからして、カリガンダキ手前に見えない電線がある!
そう考え、高度処理をしてカリガンダキ手前にランディング。

やはり、そこには3本の電線が…

カリガンダキまで飛んでいたなら、間違いなく引っかかっていました!

ランディング後はいつもの雄叫びが…


パラグライダー、何も高く上げて遠くに飛ぶだけが感動ではない!

その事をアンナプルナ一周を通して、何度となく自然と出てくる雄叫びのなかで、その緊張感と飛び終えた時の安堵、全てが感動となって自然とガッツポーズと共に叫んでしまいます。

「叫び」は挑戦している事の証であり、生きている事の証でもあります!

今までと違った景色も合間って、今日のフライトはとても感動してしまいました。

カリガンダキを南下





車が行き交います…

その後は3時間程歩いて、今日の目的地 マルファにやって来ました。

マルファの村が見えてきた

マルファはアンナプルナ周辺の中で最も高い山 ダウラギリ8172m(世界7番目)、その登頂を目指す拠点、出発地点になる場所です。

今日 来た2700mにあるマルファ。
トラングラ パスから2700mも下り、随分と暖かく過ごし易いです。

明日はマルファから1200m登った所にあるアルバリに向かいます。

3900mにある牧草地アルバリですが、今日 道を確認する為に200m程 登りましたが、この道が今までで最も急勾配! 山も直角の様なイメージで、20kg近い相棒を担いで筋トレ&スタミナ… の様な登山になりそうです。

かかって来い、アルバリ!!!

随分たくましくなりました!

飛ぶ為には登らなければならない…

明日は8時間かけて登る予定です。

覚悟を決めました!


雨宿りする犬

今日は午前中 雨が降り、雨は11時頃上がったものの予約のお客さんは全てキャンセルに…

アンナプルナ以来 休みが無かったので、いい休養になりました!

ずっと愛用していたサロモンの靴がボロになったので、新しい靴を購入しました。ナイキのMax Airです。

夏用の涼しい靴が欲しかったので、この靴はメッシュで出来ていて、スースーします!

カッコイイ靴ですよ。

4500円くらい
アンナプルナから帰って6日。
全くもって歩かない日々です!
体重も65kgを切っていたので、食べて寝て、70kgまで増やしたい‼

仕事は毎日あり、その後は写真の整理、新聞社への原稿を書いたり…

インターネットがあるオフィスで色々とやっています。

何としても新聞に取り上げられたい!

今はその一心です。


サンプラザ 中野… ?


テイクオフにバックを運ぶ キャリー ボーイ。
タンデムx2で計60kgを担ぎ坂を登り、ダッシュで坂を下り次の客へ向かいます!強い‼

テイクオフ場… 今もなお中国人シーズンで各会社 飛んでいます。
ピサンで休養して以来、10日間 歩き続けていたのと、トラングラ パスを終え一区切り付き、ヒンドゥー教の聖地 ムクティナートに来たので、今日は一日 休養日としました。

ヒンドゥー教の聖地 ムクティナート

昨日までの雪山から一変、ムクティナートからは裸の山に!

アンナプルナ一周は決まって5時半 起床、6時から朝食、6時半には宿を出て歩きだす… そして次の目的地には遅くても午後3時までには到着する…
そんな流れで日々を過ごしています。

今朝は9:30起床、朝ごはんを食べ、11時から2時まで明日ムクティナートから飛べる場所はないか?探して来ました。
そしてお昼を食べ、ヒンドゥー教の聖地であるムクティナートのお寺を見て来ました。

ムクティナートはヒンドゥー教の聖地なので、ネパールのみならずインドからも巡礼に沢山の人がやって来ます。

私達からすれば寂れたお寺ですが、信仰の姿は世界そのもの、人類そのものです。

ここで人々を見ていると、自分のやっているアンナプルナ一周にどれほどの意味があるのか? 何でこんな事をしているのか?

ふと考えてしまいました…

ムクティナートにあるお寺





沢山の遺影がありました





サドゥー

明日はムクティナートからマルファまで行く予定ですが、ムクティナートの裏山からテイクオフして、エクレバティまで飛んで行ける場所を見つけました!
これで3分の1は歩かなくて済みそうです。

明日のテイクオフ場。3900mの所から2400mのエクレバティまで、標高差1500mを飛んで降ります。

トレッキング&フライトの最大の魅力は、この場所探しにあります!

初めての場所で、地図を頼りに飛べそうな場所を見つけ、実際そこへ行ってみて、そこが飛べる場所と分かったその瞬間、その場所を見つけた瞬間の喜び!

これはフライト エリアで常に飛んでいる世界ではなく、自分でその場所を探す宝探しにも似ています。

明日は2時間かけて裏山に登り、標高差1100mを利用してなるべく目的地のマルファまで近付ければ、歩く距離も短くなるかな…

いよいよカリガンダキ(黒い河)の谷に入っていきます。
標高差6000mの世界一深い谷なので、谷風は今まで以上!

話では谷風が入ってくると、体を45度 風に預けてやっと立っていられる程の風が吹くそうです。

明日はランディングがカリガンダキの中洲になるので、8:00テイクオフ、8:30にはランディングし、その谷風の脅威を歩きながら感じたいと思います。

アンナプルナ一周も北から南へ、後半から終盤へと向かいます!
アンナプルナ一周の一番のハイライトであったトロングラ パスからのフライトは、わずか30秒で終わりました…

朝5時にトラングラを目指し登り始め、予定通りの朝8時にトラングラ パスに到着しました。

5416mは寒い!

しかし体力的には何ら問題はなく、アンナプルナ一周の最標高に登る事が出来ました。

3300mのピサン、4300mのピサン ベースキャンプ、4600mのアイスレイク、4900mのティリチョレイク、そして今回の5416m トラングラ パス… と、飛ぶ為に登る場所を上手く上げてきているので、高度による高山病の心配、体力的な問題は今のところ全くありません!

20kg近い相棒も日に日に身体に馴染んできています。

トラングラ パスは自分にとって、登る事には何の意味もなく、そこから飛んで初めて意味を持つ場所でした。

その峠の一番高い所から下を見て、あそこのコブなら何とか超えられる!と感じ、そこにグライダーを広げ準備しました。

トロングラ パスのトップにグライダーをセット。

風は無風でしたが、テイクオフには何ら問題の無い場所でした。

しかし実際テイクオフしてみると、思った様に滑空してくれない…
5416mの高度なので気圧が低く、上手く滑空しないのは分かっていましたが、それは想像以上でした…

トップからのフライト

結果そのコブの前にランディング。
わずか30秒のフライトでした…

そしてそのコブを上がって下を見ると、傾斜がほとんど無い…

グライダーを束ぬて背負って次のコブを超えても、傾斜がほとんど無い…

次のコブ、次のコブ… それは失望以外の何物でもなかった!

トラングラ パスの上の方は傾斜が緩いとは聞いていたし、地図での等圧線もそんな感じでしたが、まさかこんなにも傾斜が無いとは…

そこで初めて思った。

年間何万人ものトレッカーが超えて行くトラングラ パス。
5416mもあるそこだが、何処にでもいる普通の人達が超えられる場所。
そんな場所が急傾斜で本当に体力のある人しか超えられない場所であったなら、ここがトレッキング ルートの名所になんかならない!

失望感を胸に、グライダーを片付け、力無く下りて行く…

期待外れだっただけに、期待していただけに、本当に力が抜けてしまった。


失望で放心状態…


傾斜がなさ過ぎる…

時間も10時を超え、谷風も入ってくるし、今日はムクティナートまで歩いて下りるしかない…

数多くのトレッカーがそこにいて、彼等の二倍はある荷物を背負った自分が、そこにグライダーを隠し持った自分が、同じ様に山を歩いて下りる姿はやはり納得できなかった。

力の無い足取りで、あきらめていた自分がそこにいた…

標高を500m程下がった時、ある一カ所に目が止まった!

そこは雪境の下で平らな場所、トレッカーの休憩場所になっていた。
そして下には何もない崖、つまり滑空出来る場所だった。

トレッカーには目も暮れず、その場所をチェックする。
下には目的地ムクティナートが見える。
標高差は1000m以上ある!
目算でもそれは届く範囲だった。

ただ問題は決め事…

今回は風が動いてからは飛ばない!と決めている。

自分の経験では想像出来ない谷風が吹く…
たとえ飛べたとしても、谷で風が動くという事はランディングが難しくなる!
前方から5mの風が来たと思えば、次の瞬間には後方から5mの風がやって来る… 風が至る所にぶつかり向きを変える。こうなるとランディングが難しくなる!

しかしこのままムクティナートまで歩いて下りる事は納得出来ない!

現時点の風が飛べる… と感じた、そしてテイクオフした。






Ibexでも簡単にソアリングできる風だった。

このまま飛んでいては谷風に持っていかれる…

スパイラルで高度を下げ、一刻も早くランディングしたい!


とにかくムクティナートから離れてもいいから、広くて安全に降ろせる場所を選び、しかしそこでも何度も風で浮き上がり、ギリギリだった。

ランディングしたのが11時半ごろ。
その後 谷風が強まり、11時半はギリギリだった。

トラングラ パスからのフライトが失望だっただけに、途中からでも飛んでムクティナートまで来れた事で気分は晴れた。

しかし… 今回 自分で作った決め事を破ったのも事実。

飛べる風と、飛べないリスクのある風。

少しずつその範囲の経験を積んでいく事で、分かる様になっていく!

やはり、経験に勝るものは無い。

トラングラ パス…

もう二度とこの地を訪れる事はないだろう。

トロングラ パス


いよいよトロングラ パスのベースキャンプまでやって来ました!

トロングラ ベースキャンプ

牛のような馬のような、毛が長い生き物… 高地に住むヤクです。

このベースキャンプで標高4850m、明日の朝 登るトロングラ パスが5416m、朝5時にベースキャンプをスタートし、3時間後の8時にトロングラ パス到着予定です。

到着したら直ぐに、飛ぶ為の準備に入ります。

風の状況、テイクオフ出来る場所。

晴れているから景色がいいとか、雲っていて景色がイマイチだとかは関係なく、飛べる状況ならば直ぐに飛びます。

飛べる状況を逃す=ベースキャンプに引き返し、翌朝トライする…
になり、翌朝果たして飛べるかも分からない…

飛べるチャンスがあれば、必ず飛びます!

トロングラ パス への道

このベースキャンプにトレッカーが30人程 来ていますが、彼等の規制概念にトラングラ パスから飛ぶという発想は全く無い!

彼等を観客だと思って、彼等の規制概念をぶっ壊す飛びを明日はします!

トラングラ パスからのフライトは間違いなく、規制概念の向こう側の世界です!
アドベンチャー パイロット… ?

何だそれ… ?

私が目指すアドベンチャー パイロットとは、何も誰も飛ばない場所から飛んだり、冒険フライトを目指しているのではなく、そのフライトに何か意味があり、その為にそこへ行きフライトする…

今回のアンナプルナ一周の目的は、規制概念の向こう側へ行く事でした。

それを私にとって分かり安く形にしたのが、このアンナプルナ 大自然であり、まだ誰も飛んだ事がない場所を約20kgの荷物を背負い、30日間歩き、登り、飛んで進んで行く…
それは自分にとって規制概念の向こう側の世界であったから。

まず20kgのバックを背負った時、これを30日間背負い、山を登り、進んで行くなんてまずあり得ない世界…
そう感じました。

これは自分にとっての規制概念であり、無理だと作り上げてしまっている世界。

それがポカラまで辿り着いた時、初めてこの規制概念が崩壊する。

トマ ココネア がタンデムとタンデムの合間に山を登る姿を見た時、想像した事のない世界を目の当たりにした時、そこに存在する規制概念の姿に気が付きました。

規制概念が当たり前の世界から、規制概念のない向こう側の世界へ!

アンナプルナ一周はそこを覗きに行く旅です。

アドベンチャーはオンリー ワンの世界。

例えば、毎年 飛べる場所を見つけては、そこの村人とタンデムフライトをし、その写真を絵はがきにしプレゼントしてあげる…
それを時間を見つけては続けて、いつしかネパールを横断し、フライトの輪を何か意味のあるものにしていく…

これだってオンリー ワンのアドベンチャー パイロットの世界になる。

プロのタンデムパイロットとして、未来の宝 パッキング ボーイをパッセンジャーにタンデムフライトで何か一緒に挑戦し、その姿を見せる…

これもアドベンチャー パイロットであり、タンデムパイロットである私だから出来る事になる。

ただ飛ぶのではなく、そこに意味を生み出す!

これこそが私が目指すアドベンチャー パイロットの世界であり、アンナプルナ一周はそのスタートラインです。

Walk up

Fly

ティリチョレイクと800m下りたベースキャンプは別世界…
ベースキャンプが天国に感じました。

ティリチョ ベースキャンプ

今日はマナンまで下りよう!と思っていましたが、途中で進路を変更してマナンを経由せずにヤクカルカまで7時間かけて歩きました。

次の目的地であり、この一周の中で最も飛びたい場所、いや私にとって飛んでこそ初めて意味を持つ場所「トラングラ パス」。

5416mにある世界最大の峠は、トレッカーにとっては登って意味を持つ場所かもしれないが、私にとってそこを登る事には何の意味も無く、そこから飛んでこそ初めて意味を持つ場所、それが今回のトラングラ パスになります。

その目的地に出来るだけ早く辿り着き、飛べるタイミングを待つ。
その為に進路を変更し、目的地に近づき、その時間を作れる様にしました。

このルートが大正解!

マナン方面、ティリチョ方面、トラングラ方面 全てが見渡せるポイントがあり、絶景を見渡しながら歩く事ができました。


明日はここヤクカルカから、トラングラ パス手前のベースキャンプ4925mまで進みます。

そして全てが上手く行けば、明後日の朝にトラングラ パスからのフライトに挑戦します!

アドベンチャー パイロットとして、飛んで初めて意味を待つ場所、それが世界最大の峠「トラングラ パス5416m」です。
今日はマナンまで行く予定でしたが、昨日に疲れ果て、2時間程下山したティリチョベースキャンプで休養する事にしました。

ティリチョから下山…

ティリチョレイクは今回のポイントだった場所なので、この様な結果となり残念ですが、今回はアンナプルナ一周を歩いて飛んで周るのが目標なので、気持ちを切り替えて次のトラングラ パスに標準を絞ります。

世界最大の峠で、アンナプルナ一周の中では最標高の5416mになります。

明日マナンに戻り、インターネットで天気を調べ、トラングラ パスからは何としても飛びたい!

そこに全ての意識が今は行っています。

4〜5日後になると思うので、トラングラ パスに夢を抱き、それまでの日々を過ごします。

トラングラ パスからヒンドゥーの聖地ムクティナートへのフライト!

挑戦します。
標高4920mにある湖 ティリチョレイク。インターネットやパンフレットの写真が天国の湖 ティリチョレイクならば、今回私が体験したティリチョレイクは地獄の湖でした…

ティリチョレイクへの登り

こんな毛の長い牛 初めて見ました…




こちらが宣伝されているティリチョレイク

バイク野郎も来ています

こちらが今回 体験した地獄のティリチョレイク…

インターネットの天気予報では今日まで好天が期待されましたが、ティリチョレイクに登る途中からガスが下から湧き始め、雪がちらつき始め、次第に視界は10m程に…


しかしティリチョレイクまでの道が分かり易いのと、風がほとんどなかったので、この霧も次第に張れ、翌朝にはティリチョレイクをバックに山を登り飛べる可能性はあると考え、下山するトレッカーを横目に登りました。

飛ぶ為には今ではなく、翌朝がポイントになります。
トレッキングは今が大事ですが、日中は風が強く飛ぶ事が出来ないこの谷では、飛ぶ為に前日登り、翌朝にフライトする… 今回はアンナプルナサイドでは、それを決め事にしています。

この霧も晴れ、翌朝には飛べる可能性がある…

それが地獄の始まりでした。

ティリチョレイクに着いたのが正午の12:30。

吹雪く前

次第に雪が吹雪に変わったのが午後2:00。
それから翌朝7:00まで、今まで経験した事のない風、吹雪が続きました。

風で地面が揺れる… テントが今にも飛んでいく… どんどん下がる気温はマイナス12.5℃までに、しかも風がテントのスキマから入り込み、体感気温はそれ以下に…

もしこの吹雪が続いたのなら、私は間違いなく遭難する…

寒さと風で一睡も出来ない夜中、ずっとその事を考えていました。

明日 如何に生きてベースキャンプまで戻る事が出来るのか?

テントの中で雪を溶かし食事…

外では雷に似たゴゥーゴーという雪崩の音が何回も聞こえました。

ティリチョレイクの裏側にはアンナプルナⅠ 8091mがあり、この山はデスマウンテ、死の山、雪崩が頻繁に起こり、生きて戻るのが一番難しい山としてギネスに登録されています。

アンナプルナⅠにティリチョピーク、ここからの吹き下ろしの風がこんなにも凄いとは…

最後は 朝4:30から7:00まで、一度も途切れる事なく吹き下ろしした強風…

その後パタリと風が止み、テントの外に出ると太陽が…

この時 初めて生きて戻れる事を実感しました。

もう二度と地獄の湖 ティリチョレイクには行きたくない!

それが今の正直な感想です。
朝6時に起きると、一面 霜と雪で真っ白…
寒くて、陽が刺してくる7時まで震えていました。

登る朝日

朝日に映る影…

陽が刺してきてからは、一気に気温が15℃上がり、やっと食事をし、テントを片付ける事ができました。

テイクオフ場所はいつもそうですが、前日に色々な風向きに合わせて決めておきます。

吹き下ろしは吹き下ろしでも、どちらから吹き下ろして来るのか分からないので、朝になってから下見に行き、風向きに合わせ場所を選びます。

今日はNo.2に予測していた場所からとびました。

アイスレイクからのテイクオフ

標高が上がれば上がる程、森林限界を超え、その場所が広ければ、テイクオフは簡単になります。

ピサンベースキャンプも今日のアイスレイクも、テイクオフはほとんどの人が出来る場所でした。

しかし標高の低いそれ以外の場所は、Ibexやマウンテングライダーでないとテイクオフ出来ない場所でした。

今日のアイスレイクからのフライトは最高のロケーションと共に飛ぶ事ができ、最高のものとなりました!


マナン上空をフライト中…

ランディング後はいつものガッツポーズ!

明日はティリチョレイクへ向かいます。

標高4920mのこの湖は、ネパールでは最も高い場所の湖になります。

ティリチョレイクでは更にそこから雪山を登りフライト、そしてティリチョレイクからマナン方面へ向けてのフライトも予定しています。

しかし場所が場所なのと、マナン方面は物凄い谷になっているので、本当に条件が一致しない限り飛びません!

今日 谷を見ながら歩いてきましたが、一カ所だけ風が動いていない条件なら降ろせる場所がありました。

飛ぶか飛ばないかは40/60だと考えています。

ハイライトの一つティリチョレイクへ!

明日7時間かけて登ります。
アイスレイクからフライトする為、今日はマナンから1100m登ったアイスレイク4600mまで、6時間かけて登りました。

アイス レイクへの道中

アイスレイクにはトレッカーが10人程来ていましたが、皆 午後2時には下山。
その後はあり得ない景色を独り占めしながらのキャンプ…

アイス レイクの周り360度

目の前にガンガプルナ

右手にティリチョピーク

後ろにチュルー

アイスレイク4600m

ピサンベースキャンプの時と違い、午後を過ぎても天候がよかったので、日没まで贅沢な時間を過ごす事ができました。


日没後はアイスレイクの名の如く冷え込んで、最低気温は氷点下7.5℃…

上手く高度を上げてきているので、4600mでも普通に過ごせています。
ただピサンの時もそうでしたが、キャンプでは寒さと寝心地の悪さで熟睡は出来ませんが、山でのキャンプはそういうものだと思います。

明日はガンガプルナ7454m、アンナプルナⅢ7555mをバックに、アイスレイクからフライトします!

昨日のナマルは景色、村の雰囲気、人々…
印象に残る場所だった。




ナマルからのフライト

きっと最初で最後であろう空港へのランディングは大失敗…

今朝は昨日登ったナマルから空港のあるフムデまで飛んで降りました。

ランディング後 ポリスがやって来て事情聴取… アンナプルナ一周をパラグライダーと徒歩で周っている事を話すと、「Good Luck!」 その一言で終わりました。 ネパールです!

最後ファイルアプローチで滑走路を200m以上飛んでいると、途中から地面との高度感が分からなくなり、最後かなり高い位置でフレアをかけてしまい、転がりなからのランディングに…

自分では「今だ!」と思いフレアをかけたのですが、足が地面に着いていない? 「あれれ…」バランスが崩れ転がりながらのランディング。

一面真黒な何の変化もない広大な大地にランディングしたならば、きっと同じように高さの感覚が分からなく、目の錯覚で分からなく…

ランディングで高度感が分からなくなったのは初めての経験でした。


フムデからは2時間半程 歩いてマナンに到着しました。



マナンまでの道にて

マナンはネパールで最も美しい場所の一つですが、やはり天気が良くないとその実感も今ひとつ…

ネパールで最も美しい場所の一つ マナンの村

明日一日はマナンで休養の予定でしたが、昨日、今日とかなり体力を温存できているのと、天気予報の兼ね合いで明日はマナンから1100m登ったアイス レイクに行きます。

アイス レイクの標高は4600m。
アイス レイクでキャンプをし、翌朝ガンガプルナ7454mとアンナプルナⅢ7555mをバックにアイス レイクからのフライトを予定しています。

その後は最も標高の高い湖 ティリチョレイク4920mへ向かいますが、雪が多く、今日は雲の中なので、実際登れるのか?飛べるのか?
行ってみないと分からないのが実情です。

アイスレイクからは飛べる可能性があるので、とりあえず明日登ってみます。

明日からのアイスレイク、ティリチョレイク、その後迎えるトラングラ パスはこの一周のハイライトになる場所です。

ここには挑戦する為に来ているので、強い気持ちを持って進んで行きます!
  
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プロフィール
HN:
kazu
年齢:
53
性別:
男性
誕生日:
1971/09/08
職業:
パラグライダー
趣味:
たそがれ、物想い、静寂、心穏やか、不安、楽しむ
自己紹介:
Kazu
Japan spirits and pride
Professional tandem / Adventure pilot

世界最高峰のヒマラヤ、神の国ネパールで生きていく為に始めた空飛ぶ道具パラグライダーでコマーシャルタンデムをやっています。夢は神の山マチャプチュレへの冒険フライトに挑戦すること。
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