利子13%、紙くず同然の紙幣
谷川昌幸(C)
ネパールに来て驚くのはインフレ。人も車も百貨店もマンションも生ゴミも、なんでもインフレ。
1.金利13%
それらのインフレ現象のインフレの中でも、驚かされるのが、銀行の激増と金利13%。日本では0.01%~0.4%くらいだから、もう夢のような金利だ。愛用330万画素カメラの600ピクセル画像で、その迫力をど~んとお見せしよう。
どこも銀行だらけ。13%宣伝はラクシミ銀行とは別の銀行。この下にUNDP系機関がある。
制憲議会(国際催事場)向かいの大広告は12.5%だったが、さすが国連、UNDP隣は13%になっている。数百万~千万の金ぴか四駆を大量に持ち込めば、インフレにもなるわけだ。(もちろん他にも13%広告はある。)
2.物価高騰
13%の利子を払っても銀行がボロ儲け出来るのは、あらゆるもの、特に不動産が高騰しているからだ。カトマンズの不動産は長崎よりも、いや大阪郊外よりも高い。どんどん値上がりしている。
旅行者としてインフレを最も強く感じるのは、やはりタクシーやリキシャ。タクシーは、もはや100ルピー以下では相手にされない。市内で200ルピー、パタン250~300ルピー、キルティプール350~400ルピーは要求される。多少値切るとしても、日本並みになってきた。リキシャでも100ルピー。
3.札束でポンと支払い
もっとスゴイ、信じられない、目が点になるような光景を、大サービス600ピクセル画像でお見せしよう。
ホッチキス止めの500ルピー札100枚(5万ルピー)
これはヒマラヤン・バンクで受け取った500ルピー札100枚の束。5万ルピーで約5万7千円。なんとホッチキスで止めてある。しかも、太い針4本で両側から。このホッチキス針をはずし、紙幣をばらすのに四苦八苦、半日かかった。銀行はいったい何を考えているのだ。
が、これは私の考え違いかもしれない。5万ルピー(500ルピー札100枚)や10万ルピー(1000ルピー札100枚)はそれぞぞれ一つの単位であり、一束単位で使う。つまり、ネパールには高額紙幣がないので、札束単位で交換するわけだ。
私のような貧乏旅行者は、5万ルピーの束をもらっても、それを解体し、1枚1枚チビチビ使う。実にケチくさい。
ところが、金利13%の超高度成長国ネパールには、成金がたくさんいて、5万ルピー、10万ルピーなど、解体する必要はなく、ホッチキス止めのまま札束でポンポン気前よく支払っているにちがいない。ホッチキスで銀行帯封の上から4,5か所しっかりとじておけば、紙幣の数をいちいち数える必要はない。
たしかに5万ルピー支払うのに、100枚あるかどうか、いちいち数えるのは面倒だ。外せないくらいしっかりとホッチキス止めしておけば、札束のままポンと渡せて便利だ。きっと、これがホッチキス止めの理由であろう。
4.紙くず同然の紙幣
しかし、銀行と成金は、紙幣を束単位で扱うが、われわれ貧乏人は、それをばらし、1枚1枚ケチケチ使わざるをえない。太いホッチキス針4,5本で両側からとじられていると、いくら時間をかけ慎重に外しても、紙幣は穴だらけになる。500ルピー、1000ルピーの新札でも、銀行を出たとたん、穴だらけ。日本なら、まちがいないく、紙幣偽造罪で逮捕されてしまう。これも600ピクセルでど~んとご覧にいれよう。
太いホッチキス針4本で両側からしっかり綴じられている。穴が開いてしまった(通貨偽造罪)
こんな穴あき紙幣は、誰でも嫌がる。少し大きな穴をつくると、店では受け取ってくれない。つまり紙くずだ。銀行は、札束をばらすな、束単位で使え、と暗に要求しているわけだ。
ネパールでは、5~100ルピー札はいうに及ばず、500ルピー札,1000ルピー札ですら、ばらされてしまえば、もはや銀行にとっては紙くず同然だ。
つい2,3年前までは、1000ルピー札は無論のこと、500ルピー札ですら、大きすぎて日常生活では使用しづらかった。どうして100~5ルピー札に替えるか、いつも悩んでいた。しかし、いまではそんな心配は御無用。リキシャですら、500ルピー札を出しても、ちゃんとお釣りをくれる。
円-ルピー交換レートには、それほど大きくは反映されていないが、ネパール都市部はいま、とんでもない大インフレ、大バブルである。狂乱物価といってもよい。
これは遠からず破裂する。政治破綻と、どちらが先か。同時発生の可能性が大だが、そうなると目も当てられない。先が思いやられる。